燦燦と降り注ぐ光の下で、数多の黄金が揺れている。
滑らかでありながら油絵具の様に深い橙を着飾った花弁は、空からの光源を思わせるように堂々として美しい。 一面に広がるその花々を、昔の人々は「太陽の花嫁」と呼ぶのだそうだ。 太陽が昇れば顔を上げ、太陽が沈めばその美しい輝きを潜める。 放射線状に広がる花弁の姿でさえ太陽を思わせるのだから、確かに彼女ほど太陽の花嫁の名にふさわしい者もいないだろう。 そんな詩人きどりの言葉が出てきてしまうほどに、確かにその光景は美しかった。 ![]() 私がかの有名な淡路島にあるカレンデュラ畑に訪問したのは、まだ思春期が抜けきれていないような13歳の時。 前々から行きたいと言っていた母の要望によっての、久しぶりの家族での小旅行だった。 引っ越してから四年、弟が産まれてから五年が経って、ある程度自由に身動きが取れるようになった我々家族。 結果として、その旅行で立ち寄ったカレンデュラ畑は、まだ中学に上がったばかりの私にもわかるぐらいに素晴らしいと思える代物だった。 だらだらと書きたい気持ちは大いにあるけれども、それでは話にらちが明かないので省略するとして、その日からカレンデュラを見たり聞いたりすると、私の脳裏にはあの黄金の風景が思い浮かぶ。 冬の日なんかは特にそう。 乾燥した手をすり合わせる度、息を吹きかける度に、カレンデュラクリームが恋しくなる。作り方は簡単で、カレンデュラをオイルに漬け込んで作った浸出油と、ミツロウを合わせて湯煎にかけるだけ。 これを「万能ハーブ」と呼び、古来より家事に荒れた婦人方の手を守ってきたのは先人の知恵だ。 カレンデュラにまつわる先人の知恵は他にもある。 着色料として使われていたサフランは、昔の人にとっては大変に高価な代物だった。 その代用として選ばれたのが「貧乏人のサフラン」カレンデュラである。 肌寒い季節。 クリームを塗った手をすり合わせて、息を吹きかける。 陽を愛し、多くの人々に愛され続ける黄金の花々の香りをこうして先人たちも思い浮かべていたのかもしれない。 Kana 11月のカレンデュラ講座 「聖母マリアの黄金の花」 スポンサーサイト
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| ホーム |
|